見上げるは福寿草、君は春という名の天使。

「なによその腑抜けた返事は!ってちょっと、待って!」

「ん?あ、ごめん」


 どうやら考え事をしている間にハルカを置いてきぼりにしていたらしい。

 今回は、僕が悪い。


 ハルカは随分ご立腹の様で。


「いい加減にしな、さいっ!」


 地団駄を踏んだと思ったら、回し蹴りが飛んできて、僕の鳩尾にクリーンヒットした。
 衝撃の後に痛みがじわじわと広がる。


 …………白か…。


「ぐふっ、い、痛いなぁ。けどハルカ。自分の今の格好を思い出した方が良いよ」


 そう、回し蹴りとは、蹴る際に足を高くあげるものである。(そう僕は思っている)今日のハルカの格好は、、お嬢様らしく暖色系と白の清楚なワンピースに薄手のカーディガン。

 つまり、スカートがめくれた。ハルカの下着が見えてしまったのである。しかし、僕に野心はない。でも、ハルカのだから、ラッキーかな。


 まあ、ちなみにいうと靴は踵が少し高さのあるサンダルだ。それはそれは痛かった。



「は?」

「君は白が似合うね」

「なに言ってんのよ…アタシの格好?…わぁっ!?」


 ハルカはようやく自分の姿を思い出したようで、スカートを押さえてうずくまった。

 顔は真っ赤になっている。


 あ、可愛い。


「ヨ、ヨータ?アンタ、み、見たのね?!」


 あれ、いつもみたいに睨んでこないし殴っても来ない………だと?

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