華子(なこ)

突然の電話

平成27年4月22日夜8時頃治のケータイが鳴った。
俳優会館でやっと来月の支部総会での体験発表を書き終えた時だ。
見知らぬ番号。

「はいこちらはきりもんじ松村」
女の人の声だお客さんか?

「もしもし、おじさんですか?千葉の松村、華子(はなこ)です。覚えてますか?」
「おお、なこちゃんか。もちろん覚えてるよ。バレーばっかりやってた。
いくつになったの?」

「35です」
「ええっ!もうそんなに。結婚は?」
「まだしてません」
「信心のほうは?」
「勤行が精いっぱいで活動のほうは今一つです何かと忙しくて」
「そう、で?」

「父が倒れました。今病院に担ぎ込まれて。肺がんでもう末期だそうです」
「あの克彦が?」
「肝臓にも転移してて余命10日だそうです。今は薬で安定してますが」
「そう、10日か。危篤ではないんだな。意識は?」

「今はしっかりしてます。何かあったらまた電話しますので準備だけお願いします」
「分かった。ひろこさんは?」
「母はアキコ姉ちゃんの子供二人の面倒を見なければならず。妹のトコは今
こちらにいますがこの子はあてになりませんから」

「そうか、なこひとりで。仕事は?」
「船橋で小学校の先生をしてますが休みを取りました」

「わかった。準備しとく。大変だろうけど頑張れ。題目送るよ」
「ありがとうございます。ではよろしくお願いします」

< 2 / 21 >

この作品をシェア

pagetop