もう一度…

「シオンのお母さんは、病気で亡くなってる…って。」

「多分、そう信じているんだよ…本人が。
俺たち霊能師は、みんなで情報を共有している。

そうじゃなきゃ、何かあった時に対処できないからね。

仁科瞳が亡くなった時、俺の母親に連絡が来たんだ。

”瞳が奴らにやられた”って。」


「…奴らって…？」

「…悪霊…ってやつかな…
母親は、亡くなる少し前に人を助けたらしいんだ。
”霊に取り憑かれたから助けてほしい”と相談されて。

もちろん、除霊なんて辞めていたし、一度は断った。
だけど、彼女の性格からすると断りきれなかったんだろうな。長い間離れていた除霊を決行したんだ。　　

除霊は無事成功した。
だけど、その時の悪霊が彼女の体に入った。

そして、俺の母親がその除霊を担当したが
霊の力が強すぎて、助けられなかった。

そのせいで、シオンの母親が亡くなったんだ。
その時、シオンはまだ10才。

娘の精神的ストレスを和らげようと、父親が病気で亡くなったことにした。

そう信じてきたから、今でもシオンの中では”母親は病気で亡くなった”となってるんだよ…」


(そんな…シオンは……)