もう一度…
「で、今の町長、昔は村長か。

その村長が村の名前を変えたんだ。
今の結案町に。

すると、村に二人の女の子が誕生したんだ。
お互いに生まれた時から力が強く、
同じ日にち、同じ時間に。 

それが俺たちの母親だ。

二人は小さい時から、仲が良くていつも一緒に遊んでたらしい。そしてそれぞれが独立して、
子供を生んだ。

その子供が、俺とシオンだ。

街の人たちは喜んだらしい。
”街は栄えて安泰だ””言い伝えを守り、亡き村長の遺言を果たせる”と。

そして、俺達はシオンが8歳、俺が10歳の頃に婚約させられたんだ。
まあ、俺はその…嬉しかったけどな…?
シオンのこと、好きだし…

けど、シオンは泣いて嫌がったんだ…
”言い伝えとか知らない。セイとは結婚しない”って。
 
けど、町が決めたことだったからそれ以上反抗出来ず
シオンは、”お互いが結婚できる年齢になったら、結案町に戻ってくる。それまでは自由にさせろ。
それが、結婚の条件だ”って、誓約書を書いたんだ。

まだ8歳の子供だぞ?そんな誓約書を書くなんて
誰も想像しないだろ…?」


「…シオンかわいそう…でもシオンってすごいね……
私なら、嫌だな…」 

私は、心の底からそう思った。




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