No one can replace 『貴方の代わりには、誰もなれない。』
静まる部屋の中
時折、彩乃の嗚咽だけが聞こえる中
圭吾は、改めて
朝倉の両親に向かい
「すみません。
彩乃さんだと、思って、
紗綾乃さんを抱いてしまいました。」
と、土下座した。
みんなは······唖然······と
敬介は、圭吾を殴り
さっきまで、涙してた·····彩乃が·····
「それなら、あの子は、圭吾の子?
だって······
姉さんは、可愛い人なのに
なぜか、自信がなくて、
彼氏がいたことないんだから。」
と、言った。
母・佳乃は、だから······
父親の名前を頑なに言わなかったのかと
敬介と圭吾の両親は
無言になり······
圭吾が、
「どうか、紗綾乃さんに、
会わせてください。
確認をしたい。」
と、言うと。
敬介が、また、
圭吾を殴ろうとしたが
それを佳乃が止めて
圭吾に、
「紗綾乃は、愛情薄く育ちました。
どうぞ、あの娘をお願いします。」
と、言って、
紗綾乃の住所を圭吾に教えた。
圭吾の両親も、
すぐに行くように
と、後押ししてくれた。
彩乃と敬介は、佳乃が、
紗綾乃の住所を知っていて黙っていたのを
ブツブツ言っていたが·····
「紗綾乃との約束だったから」
と、佳乃は平然と言った。
圭吾は、翌朝の便でドイツへと
旅立った。