No one can replace 『貴方の代わりには、誰もなれない。』
Ⅵ 病院とあなた

始めは、ギクシャクしたが‥
紗綾乃は、献身的に看病をした。

大学の単位は全てとれているし
卒論も終わっていたので、
後は、卒業を待つだけだったから

朝から圭吾が、寝るまで病院にいて。
圭吾のために、栄養のあるものを毎回作り
時間がある時は、
デザートを作って届けていた。


圭吾は、利き手が使えないので、
毎回食事は、紗綾乃が食べさせ
「圭吾さん、はい。」
「うん、あ~ん。
  はぁ、美味しい。
   美味しいよ彩乃。」
と、圭吾は毎回言う。

口に入れると
これは、なに?とか
今度は、これが食べたい?とか
言う圭吾に
紗綾乃は、できるだけ
圭吾の食べたい物を作りながら
栄養のつくものを考えながら
作っていた。

食べ終わると、しばらく
圭吾を休ませて
外の空気を吸いに車イスで、
散歩にでかけて
日向ぼっこをしたりと

紗綾乃にできることは、必死にやった。

そんな紗綾乃の献身的な看病に
病院のスタッフは、
微笑ましく、羨ましく、見守っていた。

まして、看病に邪魔になるからと
だて眼鏡を外している紗綾乃は
本当に可愛かった

そして
紗綾乃は、きちんと三日に一度は、
彩乃に圭吾の状態も
報告していたが・・・・
「彩乃、圭吾さんは・・・・」
「あっ、そう。ごめんおねえちゃん、
私に出掛けないと行けないから
後は、おねえちゃんに任せる。」
と、毎回切られる・・・・

あんなに、行きたがらなかった癖に
留学先でエンジョイしている彩乃に

人の気もしらないで‥
と、思う紗綾乃であった。
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