ユメオモイ
__________________4年前



キーンコーンカーンコーン

チャイムがなり、
みんなまだ慣れていない席に静かにつく。

「今日はみんなで実験をするので、実験室に移動します」

進級してから2回目の、理科の授業。

あまり勉強が得意な方ではなかったから、
実験と言っても何も楽しみじゃないし
なにより新しく友達を作らなきゃならないのが嫌だ。
実験室に行ったら
いつものような席じゃなくて何人かが集まって長い机で一緒に実験するのだから、
弾かれ者のあたしにとったら、
辛い試練だ。大袈裟じゃなく。

心の中で盛大にため息をつきながら、
静かに実験室に向かう。

実験室に着くと、
2段になっているホワイトボードに
大きく、出席番号と席の場所が書かれていた。
あぁ、あの後ろの子二人と
あとあのことあの子か。
女の子多いし、まだマシだな。

一年生の頃かかわったことのない子達ばかりだったけど、

なんとなく顔と名前が一致して
いた。
だけど
かかわりにいったって嫌な顔されるだけだし、やめておこう。
あたしはやってと言われたことだけやって
目立たないように静かに座ってたらいいんだ。
だれかに責められたりしないように失敗しないことだけを考えよう。

そう思って、指定された席についた。

全員が指定された席に着いたのを確認すると理科の先生が実験の説明を始めた。

どうせあたしはあんまり実験に参加しない。

だから適当に聞き流しながら、あくびを噛み殺していた。

「はーい、じゃぁはじめてー!」

先生がそう言ったのと同時に、一気に実験室が騒がしくなる。
みんながまるで競争するように器具をもち
わやわやと実験を始める。
あたしは椅子から立ち上がることさえせずに、ぼうっとその実験を見ていた。

すると
去年同じクラスだった西という男の子の元に
一人の男の子がやってきた。

「しげ、一緒にやろーぜ。俺んとこ仲良いやついねーからおもんない。」

そう言って、移動してはいけないルールなんて知らないかのように
南の隣に座った。
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