距離



「はーい…」

「あがってい?」

「うん,いいよ!!」


私は零くんが入ったのを確認して家の鍵をかけてリビングへ向かう背中を追いかけた

リビングへ行くと零くんは必ずソファーに座りネクタイを緩める。
その一つ一つの仕草がすごくかっこよくて
コーヒーを入れている手を思わず止めてしまう。

「結衣?」

「えっ!?」

「さっきからぼーっとしてるけど,どうかしたの?」

「ううんっ!なんでもない!!」

すぐにコーヒーを持っていき零くんの前に置く。

いつも猫舌な零くんにあわせた温度で入れるブラックコーヒー
私は苦すぎてコーヒーなんか飲めないから紅茶を飲む

「やっぱり結衣の入れるコーヒーうまい」

「ほんとに?嬉しいな」

いつも通り作り笑顔を向ける。



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