あなたと過ごした日々
❀第一章❀
嘘つきは…
ひらひらと桜が舞うのをベッドの上で見ながら、小さく息をつく。
「綺麗…」
冬が明けて、すっかり春になったこの頃は桜が徐々に咲き始めていた。
風が吹く度に散って舞う桜の花びらと、まるでそれを引き立てるかのような澄んだ青空に感嘆の声を漏らさずにはいられない。
たとえそれが、病院のベッドの上だとしても。
「桜は自由だなぁ…」
思わずそんな独り言を呟いてしまって、笑いがこぼれた。
この病院に入院してから、既に3年が経とうとしている。
身体の調子はあまり良くない。
そもそも、「調子が良い」という状態を知らない。
辛くもないし苦しくもない、今私はとても満たされているのに『病気』らしい。