狼さんに喰われたい。
「ミャー、泣いてるの?」

大神さんはすぐに気付いた。


「泣いてない。」


「狼じゃないんだから、嘘つかない。」


大神さんは私の顔を覗き込む。


「恐かった?」

心配そうな顔の大神さん。


それがなんだか可笑しくって、思わず笑ってしまう。


「人が心配してるんだから、笑うなよ。」


「ごめんなさい。
何か疲れちゃって。」

ゴシゴシと袖で涙を拭いた。
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