狼さんに喰われたい。
「どうしてここが分かったんですか?」

大神さんにお茶を出した。


「勘。」

野性の勘ですか。

また権力でも使ったのかな...


「それより、どうしてまた逃げた?」


「そ、それは...」

大神さんに見つめられて、言葉に詰まる。


「俺のこと嫌い?」


「嫌いっていうか...
そもそも名前くらいしか知りませんし。」


「じゃあ、恐いのか?」


暫く、考えてみた。


助けて貰ったし、恐くはない...はず。


「恐くはないです。」

顔を上げると、さっきよりも近くに大神さんの顔があった。
< 53 / 98 >

この作品をシェア

pagetop