狼さんに喰われたい。
「どうですかね?」

大神さんに勧められた服を着て、試着室の扉を開けた。


「どうしよ...
抱き締めても良い?」

大神さんが両手を広げる。


「やめて下さい。
そして、質問の答えになってません。」

冷ややかな目で大神さんを見る。


「すっごく似合ってる。
これ以上、好きになっちゃって良いのかな...」

手で顔を隠す大神さん。


「その寒い台詞、本当にやめて下さい。
ゾッとしますよ。」


大神さんの相手をするのが面倒になって、試着室の扉を閉めようとした。


「ストップ!」

大神さんの手が扉を押さえる。
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