狼さんに喰われたい。
「真ん中から塗った方が良いですよ。」

「そうなの?」

「はい。先に真ん中を塗って左右を塗るんです。」


大神さんが私の言った通りに、ネイルを塗っていく。


大神さん、睫毛長いなー・・・。


真剣な顔をした大神さんを見つめる。

よく考えたら、あの会社の社長さんに塗って貰ってるんだ...


「そんなに見つめないでよ。
ドキドキするじゃん。」

大神さんがパッと顔を上げた。


「あ、すみません。」


「ふふっ。
まぁ、好きな子に見つめられるのも嫌いじゃないんだけど、今はいつもみたいに格好良い顔を出来ないから。」

大神さんがドヤ顔をする。


「大丈夫ですよ。
いつもと変わりません。」

「それはそれでショック。」
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