狼さんに喰われたい。
「出来ましたよ、お嬢様。」

大神さんがネイルを締めながら、表情を緩めてそう言った。


「ありがとうございます。」

出来映えがどうであれ、大神さんが嬉しそうなら...まあいっか。


「お嬢様、何かご褒美はありませんか?」


「は?」


驚きの余り、開いた口が塞がらない。


「チュウの一つでも...「調子に乗らないで下さい」」


大神さんに迫られる前に、立ち上がった。


「あーあ、残念。
ミャー、ノリ悪いなぁ。」


「いつもノリに乗ってたら、身が持ちません。」


「否定出来ないな。」

頬杖を付きながら、大神さんがクスッと笑う。
< 87 / 98 >

この作品をシェア

pagetop