狼さんに喰われたい。
「んじゃあ、行ってきます。」

次の日、出勤する大神さんを玄関まで見送る。


「...何してるんですか?」

目を閉じて、口を尖らせる大神さん。


「いやいや。
分かってよ、ミャー。
行ってらっしゃいの...?」


「ちゅー。」


「うんうん!
ってことで??」

再び目を閉じる大神さん。


「永遠に行ってらっしゃい、大神さん。」

クルリと背中を向けて、大神さんをスルーすることにした。


「ミャーごめんって!
調子乗りすぎた。
せめて投げキッスお願い!」

それはそれで恥ずかしいんだけど。


「ん?何か言いましたか?
お仕事頑張って下さいね、さようなら。」

投げキッスの代わりに、目の下を下げて舌を出した。


「...あっかんべーで我慢するか。
いい子にしててね、ミャー。」


結局、出発に15分も掛かってるな。
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