それでも、きみを。
トランペットソロのメロディが吹き終わり、新たな旋律がいくつもの楽器によって奏で継がれていく。
たかが校歌、それなのに惹きつけられる音楽。
徐々に集まってくる私と同じスカーフの色の人。
待ち構えていたビラ配りが一人一人に声をかけていく。
「吹奏楽部新入生募集してます!」
手渡されたビラに記された、ひときわ大きい文字。
【あなたも一緒に演奏しよう!】
ふいに演奏集団に視線を向けると、彼女と視線があったような気がする。
踏み出したいその先に。もう一度あなたの隣で奏でたいと叫んでしまいたい。
それでも私は―。