♡〜ラブアドバンス〜独女歩数計オムニバス形式♡
大手不動産会社の事務員として働いている私。
「おはようございます」
出勤してから、タイムカードを押して店の前の掃除を全員でする。
チリトリを持ってきて地面につける同じ事務員の麻耶ちゃんが、哀しそうに私を見上げる。
「花さん、知ってますぅ?」
「ん? 何」
ゴミをホウキでチリトリに入れていきながら、麻耶ちゃんを見た。
「中羽 達也ですよ」
「中羽? ああ、アイドルの?」
「ゲイだったらしいんですよ〜。もう、ショックで!」
麻耶ちゃんは、アイドルグループに属している中羽達也のファンで、ファンクラブにまで入っている。
「え〜ガセじゃないの?」
「写真が取られてるんですよ〜。新宿二丁目での路上キスって」
麻耶ちゃんは、ガックリと肩を落としている。
「へぇ、でも、ほら演技の練習かもよ」
「本人もそう言ってました」
ゴミを取り終え、チリトリを持ち上げる麻耶ちゃん。
「なら、いいじゃない」
「変ですよ。今もこれからもゲイの役とかやる予定ないんですから!」
「あ〜そうなんだ……」
中羽達也は、綺麗な顔の若い男の子だ。
私にしたら少し若すぎて、あまり興味がなかった。
だが、ゲイだと聞いて少しだけ興味を持った。
ゲイのアイドルか……。