明日はきっと晴れるから
「えー、行くって言ったのに〜。
なんで〜?」
「私、勉強しないといけないの。
あの、えっと、成績下がったら、親に強制的に髪の毛黒くされちゃうから……」
それはとっさに考えた嘘の理由。
本当は茶髪について、両親はもう、私に何も言ってこない。
お父さんとは極端に会話が少なくなっちゃって、きっと不愉快に思っているのだろうけど、怒られはしない。
諦められているのかな……。
お母さんは気をつかっている感じがする。
私とお父さんの間で、お母さんひとりだけがよくしゃべる。
わざと明るくしようとしているお母さんの気持ちが、心に痛い……。
だから、メイクについても茶髪についても、今は家で怒られたりしないけど、
とっさに嘘をついた理由は、そう言えばわかってくれるかなと思って。
美緒ちゃんたちにとって、仲間の条件にメイクと茶髪は必須みたいだから……。
慣れない嘘をついたせいで、ドキドキして目が泳いでしまった。
でも、嘘だとバレなかったみたい。
美緒ちゃんが哀れんだ目で私を見て言った。
「可愛くすんのが、成績しだいなの?
菜乃花の親って、ヤバイ考えしてるね。
ダサ子に戻ったらうちらが困るし、仕方ないか。
じゃあ、次に遊ぶのはテスト終わってからだね。
菜乃花、バイバイ」
「う、うん! ごめんね、ありがとう!」