明日はきっと晴れるから



急に現れた結城くんに驚いたあとは、勝手に涙が溢れてしまった。


私の気持ちは春町くん達にはわかってもらえないけど、きっと結城くんならわかってくれる……。

そう思って、ホッとして泣いてしまった。



「友達をいじめて楽しむとは、思ったより酷い友人関係だな。

今、宗多さんに何をしようとしてたのか、説明してくれる?」



結城くんの喋り方はいつもと同じで淡々としているけど、声はいつもより低く、静かな怒りに満ちていた。


春町くんは罰の悪そうな笑い方で、自分の茶髪を触りながらごまかそうとしているみたい。



「や〜誤解だよ。

菜乃花ちゃんが俺らと上手くやっていけるように、調整役を買って出ただけだって。

変なことしてないから怒んないでよ」



「調整役?
俺には、無理やり何かをやらせようとしていたように見えたけど」



「本当だって。な?美緒?」



結城くんの後ろで涙を拭いながら、私は春町くん達の言い訳を聞いていた。


同意を求められた美緒ちゃんが、面倒くさそうに舌打ちして、

「いじめてないし」

と、言っていた。



由希奈ちゃんは顎先に人差し指を当てて「ん〜」と何かを考えてから、結城くんに言った。



「思い出した〜! 体育祭の時に菜乃花のこと抱えて保健室に走って行った人だ!

顔もいいしスタイルもいいと思うけどー、髪型普通すぎるよ。

制服もキッチリ着すぎ。もったいないなぁ。由希奈的に、80点!

で、なんで菜乃花をかばうの? もしかして、彼氏?

菜乃花に彼氏なんて、すっごーい!

ねぇ、これって、あたし達のお陰だよね。
ダサ子だった菜乃花のままじゃ彼氏なんてできないしー」


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