明日はきっと晴れるから
自分を取り戻しに
◇◇◇
夏休み最終日の夕方、お母さんの携帯電話を借りて、結城くんにメールを送った。
【宗多菜乃花です。
連絡が遅くなってごめんなさい。
まだ色々と問題はあるけれど、とりあえず明日、学校に行くことにしました。
いつも心配かけてごめんね】
生まれて初めてメールを打ったので、ちゃんと届いているのか心配だったけど、結城くんからすぐに返信が届いたのでホッとした。
【よかった。
朝、正面玄関で待っているから】
【うん。ありがとう】
お父さんの事件から約一ヶ月。
お父さんについては業務上過失致死容疑で起訴中ということ以外、私には何もわからない。
家にはまだ帰ってこれないみたいで、私はただ、いつか帰ってきてくれることを信じて待つしかできない状況だった。
私達家族にとってはまだ事件の真っ只中にいる気持ちだけど、周囲の騒がしさは落ち着いていた。
今はもう、自宅マンション前で張り込むマスコミの姿も消えている。
ニュースやワイドショーは別の大きな事件を連日扱っていて、世間の興味や関心は、あっという間に移り変わるということを実感していた。
そのため引越しする必要もなさそうで、とりあえず二学期も、私は結城くんと同じ学校へ通えることになって、嬉しい……。