明日はきっと晴れるから
翌朝、約一ヶ月ぶりの制服を着て、自宅を出た。
空はあいにくの雨模様。
道路も建物も、駅も電車も、すべてがしっとりと濡れていた。
電車を下りて傘を差し、学校へ向かう。
今までと同じ学校へ通えるのは嬉しいけど、緊張もしていた。
私のお父さんの事件のことは、きっとみんな知っている。
“ 宗多” という漢字の苗字は珍しいから、ニュースをみて私の家のことだと気づかれると思うんだ。
その一方で、気づかれていないかも知れないという、淡い期待も抱いていた。
高校2年の夏休みは、みんなきっと忙しい。
勉強や部活、遊びにと、忙しくてニュースなんか見ていないんじゃないかって。
もし見たとしても、一ヶ月以上も経ったから、忘れてるんじゃないかって……。
校門をくぐり、雨に濡れたアスファルトの道を正面玄関に向けて歩いて行く。
クラスメイトの反応が少し怖いけど、私が逃げずにこうして学校に向かうことができるのは、間違いなく結城くんのお陰。
結城くんに、会いたい。
結城くんの、側にいたい。
そんな温かい想いが、気持ちも足も、前へと進めてくれていた。