明日はきっと晴れるから



青い表紙に触れて、心の中にゆきちゃんとの想い出が蘇ってきた。


それと同時に、今まで思い出せなかったんじゃなくて、無意識に思い出さないようにしていたんだと気付いた。


だって……ゆきちゃんとのあの夏はあんなにキラキラ輝いていたのに……夏が終わると急にいなくなってしまったから。



寂しくて、悲しくて、ゆきちゃんに会えなくなってから私はメソメソしていた。


そんな気持ちを心の奥底に押し込んで蓋を閉めて、想い出の全てを忘れようとしていた。


そうしないと、ゆきちゃんに会いたくなってしまうから……。



ゆきちゃんとの想い出を取り戻した途端に、悲しくなってしまった。


視界がぼやけてきて、慌てて目元を手の甲で拭った。



「ゆきちゃんは……どうして、いなくなっちゃったの?」



今の結城くんにあの時に何度も心の中で問いかけた疑問をぶつけると、

「ごめん……」

と謝ってくれた。



「談話室に行こうか。そこで話すよ。

あの頃の俺が抱えていたこと。君に救われたこと。全てを」




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