明日はきっと晴れるから



「オレンジジュース」と答えながら、慌てて鞄からお財布を取り出した。


私の分のジュースと自分の分のコーヒーを買って戻ってきた結城くんに、「お金はいいよ」と言われてしまう。



「よくないよ。ちゃんと払う」



頭が固いと言われてしまうかもしれないけど、同じ高校生で親にお小遣いをもらっている身なのに、おごられるのはおかしいといつも私は思ってしまう。



そんな私の手の中にオレンジジュースの缶を置いて、結城くんは言った。



「親のお金で友達にジュースを買うのはおかしいと、考えているのかな?

そうなら、気にしなくていい。
親に小遣いはもらっていない。自分で稼いだお金の使い道は、自分で決める」



そっか……。

結城くんはお祖父さんの翻訳の仕事を手伝っていると言っていたよね。


自分で稼いだお金の使い道は、自分で決める……。

じゃあ、これはもらってもいいのかな。



「君が飲まないと、俺も飲みにくい」


そう言われたので、慌ててプルトップを開けた。


お礼を言って口をつけると、結城くんも缶コーヒーを飲んでいた。



それから結城くんは「長くなるけど」と断って、話し始めた。


私が知っていることも、知らないことも、ゆきちゃんと私のあの夏の全てをーーーー。





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