明日はきっと晴れるから
それは日常的なことで、私は特に何も感じない。
自分は男の子なのに……そう考えることもなく、姉の代わりでいいのかと、疑問に思うこともない。
その理由としては、『言っても無駄』『言ったら母親が壊れる』というのもあるけど、一番大きな理由は私にあるのかもしれない。
自分が何者なのかを、私自身がわからなかった。
心はいつも空っぽで、『さーや』と呼ばれて返事をし、渡されるスカートを履き、
長い髪を母親が結い終わるのを、疑問を持たずにただじっと待っていた。
二人掛けのダイニングテーブルで朝食をとっていると、母親の携帯電話が鳴り響いた。
母親は少し嫌そうな顔をしながら、通話に出た。
「ーーうん、元気よ。心配しないで。ーー
は? 違う、さーやでしょ! 真臣って誰よ!
自分の子供の名前を間違えるなんて、あなたって人は! だから私は帰りたくないのよ!ーー」
電話を掛けてきたのは、父親。
たまに電話を掛けてきては、こうして母親と喧嘩をしている。