明日はきっと晴れるから
談話室の時計が、12時半をさしていた。
話を聞き終えた私は、自分で思い出したことと結城くんに教えてもらったことを合わせて、あの夏の全てを知ることができた。
亡くなったお姉さんの代わりとして育てられ、女の子の格好をさせられていたんだね……。
あの時にそれを教えてくれていたなら、もっと気の利いたことを言えたかもしれないけど、
幼かったこともあり、私のしたアドバイスは、
『ゆきちゃんは、ゆきちゃんだよ。変なの!』
これだけなんて……。
あの時の自分の言葉の足りなさを、恥ずかしく思ってしまった。
でも、結城くんはあの言葉のお陰でと言ってくれたから、よかったのかな……。
そして、その言葉は、そっくりそのまま今の自分に跳ね返ってきている。
結城くんが丸テーブルの上に、缶コーヒーをコトリと置いた。
私の手の中のオレンジジュースの缶も抜き取ってテーブルに置いてから、両手を繋いできた。
勝手に頰が赤くなって、ドキドキしてしまう。
一方結城くんは真剣な眼差しで、私の目の奥をじっと見つめて言ってくれた。
「菜乃花は菜乃花だよ。
今ならもう、わかるだろ?」
「うん……」