明日はきっと晴れるから
雨上がりの空
◇◇◇
翌日は朝から雨。
冷たい秋雨の中を、傘をさして学校へと向かっていた。
昨日、結城くんに『明日の朝、迎えに行くよ』と言われたけど、断った。
それは、お互いの家が全然違う方向なのに申し訳ないという気持ちだけじゃなく、私は大丈夫だと思ったから。
もう、消えてしまいたいなんて思わない。
やまない雨はないんだよね?
結城くんのその言葉と、知らず知らずに彼を助けていた幼い頃の私を思い出したことで、随分と強くなれた気がしていた。
正門をくぐり、正面玄関へ。
ほら、大丈夫。
学校を見ても、苦しくないよ。
靴を履き替え、階段を上り、自分のクラスを目指した。
長い廊下を歩いていると、鼓動が徐々に速くなっていくのを感じていた。
教室が近づくとちょっとだけ、足取りが重たくなるかな……。
つい顔を下に向けたくなるけど、頑張って前をまっすぐに見て歩いていった。
クラスのドアは閉まっていた。
中から楽しそうな話声が聞こえてくる。
ドアの前で立ち止まり、深呼吸をひとつ。
『菜乃花の雨も、絶対にやむから大丈夫だよ。
自信を持って。前を向いてーー』
結城くんがくれた言葉を心の中で何度も繰り返して、ドアに手をかけた。