明日はきっと晴れるから
「あっと、えっと、いや、お金はいらないって言うか……。
本気であんなことしたかった訳じゃないっていうか、あ、あのさ……」
しどろもどろによく分からない言い訳をしていた島田くんは、途中で言い訳をやめて、私に向けて頭をガバッと下げた。
「ごめん! マジごめん!
宗多さん……じゃなかった、岸谷さんに見られていたとは思わなかった。
傷ついたよな? 本当にゴメン。
今、言い訳しようと焦って色々考えたんだけど、言い訳なんてできないことをしたって気づいただけだった。
自分がしたことが卑怯で恥ずかしいことだって、今気づいた。
岸谷さんに悪い所はひとつもないのに、勝手に偏見持って、ごめんなさい!」
謝られて、驚いてしまった。
私が声をかけたのは、現実から逃げたくなかったから。
また『不幸が移る』と言われて、お金も拒否されるかもしれないと覚悟して言ったのに、悪いと思って謝ってくれるなんて……。
一昨日しっかり傷ついた分、そう言ってくれたのが嬉しかった。
笑顔で「私は大丈夫。気にしないで」と言ってから、お財布からコーヒー牛乳代金を出して、島田くんに渡した。