明日はきっと晴れるから
私をまっすぐに見るふたつの瞳は、透き通るような黒色で、綺麗すぎて吸い込まれてしまいそう……。
「昨日のキスは、ノーカウントにしてくれる?
あの時は俺も焦っていたし、よく覚えていないくらいに一瞬だったから。
ファーストキスは、今からするキスにしておいて」
そんな恥ずかしい台詞を、結城くんは淡々と言う。
私は恥ずかしくて堪らないのに、結城くんはどうしてそんなに普通なの?
そう思ったけど、すぐに違うと気づいた。
結城くんも、耳が赤くなってるよ……。
壊れそうなほどに胸がドキドキ高鳴る中で目を閉じると、唇に吐息がかかり、すぐに柔らかな感触も。
優しく触れて、離れて、また触れて……。
雨上がりの窓から差し込む光の帯が、私達を温かく包んでくれていた。
結城くん、ありがとう。
本当にありがとう。
もう私は、自分を見失ったりしない。
自分をしっかり持っていれば、どんなに辛いことも乗り越えて行けそうな気がするよ。
私は私らしく。
自信を持って。
前を向いて。
明日はきっと、晴れるからーーーー。
【 完 】