明日はきっと晴れるから
目線は化粧品に向けているけど、それらについて考えてはいなかった。
頭の中にミステリーや恋愛物、冒険ファンタジーやエッセイ、様々なジャンルの本を思い描いていた。
やっぱり、さっきの大型書店に入ってみたかったな……。
徳波文庫の新刊も気になるけど、あの本屋さん自体も気になる。
行ったことのない本屋さんに入る時って、ドキドキするよね。
図書館も同じ。
どんな新しい本に出会えるだろうと、ワクワクする。
本について考えを巡らせている私が何気なく立ち止まった場所は、化粧品コーナーの隣の、ヘアカラーリング剤の棚の前だった。
すると美緒ちゃんと由希奈ちゃんが寄ってきて、口々に言う。
「菜乃花、カラーリングするの?」
「賛成! せっかくメイクしても菜乃花の髪って真っ黒だから、ちょいダサなんだよね。
思い切って明るくしよ?」
「これは? 発色いいって聞いたことある」
「それダメ〜。すんごい傷むから。
これがいいよ。使いやすいし、サラサラにもなる」