明日はきっと晴れるから
ふたりの中で私の茶髪は、既に決定事項。
キャアキャアと会話が弾んで、とっても楽しそう。
脱衣所でその様子を見ながら、私はとっても困っていた。
どうしよう……どうしよう……。
ここまで来て嫌だなんて、言い出し難い。
ドラッグストアの中にいた時よりも、ずっとずっと言えない雰囲気。
もし茶髪にしたくないと言ったら、『絶対かわいくなるから、やった方がいいよ!』と説得されるのはわかっている。
それでも嫌だと言ったら、どうなるのかな……。
『春町くんに買わせておきながら、今更やめるとかヒドイ!』と、言われてしまうかも……。
可愛くなることを拒否するなんて、やっぱりダサ子だねって、思われるかも……。
明日からはもう、仲間に入れてもらえないかも……。
「準備できたよー! 菜乃花、おいでー」
お風呂場で美緒ちゃんが、楽しそうな顔して私を呼んだ。
だめ……。
私には断れない……。
一人ぼっちで淋しくても、それは小さな頃から度々味わってきたし、慣れっこだから辛くないと思っていた。
でも、一度手に入れたものを失うのは辛いと思う。
友達が元からいないことには耐えられても、今いる友達を失うのは怖い。
『これでもう一人ぼっちじゃなくなるよ……良かったね……』
そう言って、地味な私を仲間に入れてくれた春町くん。
彼の優しさを踏みにじるのも……怖かった……。