明日はきっと晴れるから
中庭の男の子
◇◇◇
翌日、明るい茶色に染まった髪を気にしながら登校した。
満員電車のドア付近に立っていると、ガラスに微かに自分の顔が映っているのに気づく。
左の頬にそっと手を当てた。
よく見ないとわからないと思うけど、少しだけ腫れて熱を帯びている。
それは昨夜、帰宅したお父さんに平手で叩かれたからだ。
お父さんに手を上げられたのは、生まれて初めて。
理由はもちろん、この髪色のせい。
『そんな娘に育てた覚えはないぞ!
校則すら守れない奴が、大人になって社会のルールを守れるというのか?』
お父さんは警察官だから、規則を守ることには特別に厳しいかもしれない。
規則は守るためにあるのだと、お父さんに教えられて育ったきた。
そんな娘が突然校則違反の茶髪にしたら、怒られるのも当たり前。
お母さんは泣いていた。
『不良のお友達ができたの?』って、震える涙声で聞いてきた。
春町くん達は不良じゃないよ。
校則違反は気にしないみたいだけど、授業をさぼったりしないし、煙草を吸ったりもしない。
万引きとか、人に迷惑をかけることは絶対ない。
ただちょっと見た目が目立つというだけなのに、不良なんて言葉を使わないで欲しい。