明日はきっと晴れるから



校舎は長方形の南側が一部凹んでいて、そこに花壇やベンチが置かれているので、生徒は中庭と呼んでいる。


正面玄関を出て、校舎を半周してグランド側へ回る。


部活動の生徒達の掛け声が、水色の空に響いていた。


テニスコートと、プレハブ長屋の運動部の部室の前を通り過ぎると、校舎の凹んだ部分ーー中庭にたどり着く。



晴れた日のお昼はお弁当を持った生徒で賑わう場所だけど、放課後にここを利用する生徒は少ないと思う。


そこに、ひとりの男子生徒がガーデンベンチに座っていた。


短めの黒い髪に、整った目鼻立ち。

長い足を組んで目線は下に向いている。


手の中には文庫本があり、真剣な顔して読書に没頭しているといった雰囲気だ。


私は中庭の前で足を止め、ほぉっと息を吐き出した。



白やピンクの芝桜で縁取られた円形の花壇と、緑の芝生。

静かに読書にふける、綺麗な顔の男の子。


校舎の壁で四角く切り取られたその光景は、まるで一枚の絵葉書みたい。


思わず足を止めて見入ってしまったけど、彼が手を動かして本のページをめくったことで、ハッと我に返った。


あの人が結城くんなのかな……。


中庭には彼ひとりしかいないので、きっとそうなのだろう。


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