明日はきっと晴れるから
言い当てられて、顔がカアッと赤くなる。
「読みたいけど、あの、ただで貸してもらおうとか、そんな図々しいことは考えてなくて……」
慌ててそんな言い訳をしていると、結城くんがほんの少し頬を緩ませた。
あ……笑った……。
随分と感情を顔に出さない人だと思っていた彼が、微かではあるけどクスリと笑っていた。
その笑い方に、なぜか懐かしさがこみ上げた。
一瞬だけ頭の中に、どこかの図書室の風景が浮かんで、すぐに消えてしまう。
あやふやな懐かしさも同時に消え去り、今のは何だったのだろうと考えていたら、結城くんが「この本、続き物なんだけど」と、本の話題の続きを口にした。
「知ってます。1巻と2巻は私も持っているから……」
それからふたりでベンチに座り、本について語り合った。
何度も転校を繰り返し、幼馴染や親友と呼べる友達はなく、一人ぼっちの期間も結構あった私にとって、
一番の友達は本かもしれない。
これまでお小遣いの使い道の80パーセントは、文庫本の購入に消えていた。
最近は時間がなくて行ってないけど、学校の図書室や図書館に行くことが好きだった。