明日はきっと晴れるから
「まだあるけど、聞きたい?」
結城くんにそう言われて、首を横に振った。
色々と見られていたことはよくわかったから、もう十分。
とても恥ずかしくて、さっき、春町くんへの恋心を意識した時以上に顔が赤くなっていた。
目立たない私のことをこんなに見ていたのなら、『好きだった』という言葉は本当なのかもしれない。
でも、結城くんに一切の照れはなく、相変わらず無表情に近い真顔のままだから、まだ疑いの気持ちは残っていた。
たとえ過去形だとしても、好きだと意識した人を前にして、そんなに平然としていられるものなの?
私ならできないよ。
春町くんへの気持ちに気付いて、明日からどんな顔して話せばいいんだろうと、考えただけで恥ずかしいのに。
結城くんのまっすぐで綺麗な双眼から、視線を外してうつむいた。
私達の間に、夕暮れの冷たい風が吹き抜ける。
数十秒の沈黙のあと、彼は声のトーンを少し落としてぽつりと呟いた。
「やっぱり忘れてるみたいだな……俺のこと……」
「え?」