明日はきっと晴れるから
「帰りどっか寄ってこ?」
「マックにする? ミスド?」
女子数人が楽しそうに相談していた。
「あー、走んのかったりー。サボりてー」
「バーカ。先輩にどやされんぞ」
サッカー部の男子ふたりが、スポーツバックを担いで教室を出ようとしていた。
私は部活に入っていないので、いつも真っすぐ家に帰る。
紺色の学生鞄に手帳とプリントをしまうと、静かに席を立ち、ドアに向かった。
すると背後で「菜乃花ちゃーん!」と、誰かが私を呼び止めた。
振り返ると窓際の机の上に春町くんが腰かけて、私にヒラヒラと片手を振っている。
春町くんの隣には、彼より少し濃いめの茶髪の紺野くんという男子が立っていて、スマホをいじっていた。
その他に、女子がふたり。
小村さんは窓辺に背を持たれて立っていて、佐々川さんは春町くんが腰かけている机の椅子に座っている。
ふたりともメイクをしていて、目元がすごくパッチリしている。
アクセサリーも色々と付けているし、春町くんと同じ、見た目が派手な人達だ。