明日はきっと晴れるから
先生の白衣の袖を掴んで、揺すぶっていた。
面食らったような顔で少し驚いてから、先生はこう答えた。
「ごめんね。先生は生徒全員の名前を覚えているわけじゃないから、わからないわ。
春町みたいな困った子は嫌でも覚えてしまうけど、あなたを運んだ子は生活態度に問題がないから、覚えていなかったの。
倒れた時に体育館にいた生徒に聞けば、わかるんじゃないかな?」
「そうですか……」
美緒ちゃんと由希奈ちゃんに聞いてみたら、わかるかな?
春町くんもあの場にいたから、見ていたはずだよね?
あ……でも……春町くんに聞くのは、ちょっと無理かも。
嘘をついたでしょ?って、彼を責める勇気は私にはないから……。
先生に促されて、再びベッドに横になった。
「おとなしく寝ていてね」
先生はカーテンの向こうへ出ていこうとして、それから思い出したように言った。
「そうそう! あなたを運んだ男の子、名前はわからないけど特進クラスの子よ。
あなたの心配してたけど、2-特のテニスの二回戦がもうすぐで。
猪熊先生にこっちは大丈夫だから試合に行けと言われて、保健室を出て行ったんだったわ。
猪熊先生に聞いてもわかるかもね」