番のエージェント
忍び足で工場の内部に進んでいくと、シェイドの警告通り、アサルトライフルで武装した男達の姿があった。

迷彩服にAK-74なんて、テロリスト丸出しだ。

そしてその男達に指示を出す、口の周りに鬚を蓄えた険しい表情の男。

右目は失っているのか、常に閉じている。

「リィ、アイツ本部のデータベースで見た事あるよな。えーと、何だっけ、あの、アレだ」

「ニコライ・ウルチェノフ…死の商人…世界中に武器を売り捌いてる…昔、天神地区にも武器を密輸しようとして、アリスカ局長に阻止された…」

コンテナの陰に隠れて、小声で話す霸龍闘とリィ。

行動力はあるが知識に乏しい先輩エージェントの霸龍闘を、新米のリィがしっかりとサポートしてくれる。

普通は逆ではなかろうか。

ともかく、テロリストのアジトを押さえようとして思わぬ大物だ。

ウルチェノフを捕らえる事が出来れば、世界中へのロシア製武器密輸を断つ事が出来る。

「ウルチェノフ捕まえたら、ご褒美にチューとかしてくれる?」

「任務中だよ…」

「しばらく訓練で忙しくて、リィ構ってくれないじゃんか」

「…………ほっぺにね」

クールビューティーは赤面した。

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