あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました

「ひとりで産んで育てるって、生半可な苦労じゃないだろうな」

「……そうだけど」

「貢いだ金が返ってこないのは“勉強料”かもしれないが、子どもの問題はまた別だから。あの男、養育費とか払いそうにないし」

　サバサバと言葉を並べる架くんに、このとき違和感を覚えた。
　あの男性に飛び掛らんがばかりに啖呵を切っていた熱い架くんとは違う気がしたのだ。

「勉強料って、そんな言い方しなくても……。女にお金を貢がせる男なんて最低よ。だけど樹沙ちゃんは、彼を純粋に好きだったの」

「男を見る目がなかったって言ってるんだ、樹沙ちゃん自身に」

　彼女は無菌室で育ったようなもので、悪い男に対する免疫なんてない。
　本気で一生懸命、人を愛しただけ。そのせいで、周りが見えなくなっていただけのこと。