あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「ホストやってたとき。直接金を貢がれたわけじゃないけど、俺に会いに店に来るために、給料とかボーナスをガンガンつぎ込んでる女の子もいた。通う金が足りなくてバイトする子も。そういうの、わかってたけど止めなかった。俺も最低だ」

 ホストの世界はよくわからない。
 だけど、今回の樹沙ちゃんのことと架くんがいた世界は、違うように思う。

「だからあの男に、相手が勝手に貢いだんだって言われたとき、言い返せなかった」

 そういえば、架くんが一瞬言葉に詰まった場面があった。
 あのとき、そんなことが彼の頭を()ぎっていたのだ。

「女は貢がせてなんぼ。……店長やオーナーから毎日聞かされてた言葉だ」

「……架くん」

「思い出したらヘドが出る」

 最後にポツリとつぶやいて、架くんはフイッと給湯室を出て行ってしまった。

 貢がせろと言われ続けるのもうんざりならば、貢ぐ女にもうんざり。
 なんだかそう言っているように聞こえた。

 架くんの心にトゲが刺さっているとしたら、それではないだろうか。

 私にとって、修次との交際がトラウマになったように、架くんにもなにかトラウマがあるのかもしれない。

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