あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
7.イケメンホストがホストでなくなる日

―――― 7. イケメンホストがホストでなくなる日

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「おい、お前が滝沢 架か?」

 いかにも頭の悪そうな、いきりたった男が三人やって来て、大学の構内を歩く俺の前に立ちふさがる。

「なんだよ。どいてくれ、講義に遅れる」

「人の女を()っといて、呑気に講義なんて受けてんじゃねぇぞ、こら!」

 とぼけているわけではなく、本当に身に覚えがない。誰か違う男と間違えているのだろう。

「女って、いったい誰のことだ?」

「はぁ?! 由美(ゆみ)だよ! 好きな男ができたから別れてくれって、昨日いきなり言ってきたんだ。相手は誰なのか聞いたらお前だって!」

 由美……誰なのかわからない。
 この前参加した飲み会にいた女の子だったか?

 おそらくそうなのだろうが、俺の中ではもう顔すら思い出せない。

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