あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 けど、その天然さというか無神経さで俺は半分くらい冷めた。
 どうせフラれるなら、ある意味吹っ切れたからよかったのかもしれない。

「マジか。架よりイケメン?」

 なぜそんなに食いつくのかわからないが、孝弘はそれがどんな男だったのか気になるようだ。

「いいや。熊みたいだった。毛深くて腹がぽっこり出てるような男」

「はっ、全然イケてないな」

 孝弘の言うとおりだ。そう思うのが普通だろう。
 女は程よく筋肉のついたソフトマッチョが好きなんじゃないのか?

 なのに見せられた写真の男は、ゆるキャラと見間違うくらいのだらしない体型だった。
 半袖シャツから覗いていた腕は毛むくじゃらだったし、“熊”以外にどう例えたらいいのかわからない。

「そんな男が好きとはねぇ」

 かなり好みが偏っている、こんな熊男のどこがいいのだと、孝弘と同じく俺もそう感じた。

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