あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 葉月さんに好きだと打ち明けようにも、完全にタイミングを逃して日々だけが過ぎる。
 喧嘩とまではいかなくとも、不穏な空気が流れる中で、好きだ、愛してる、と告白などできなかった。

 そんな中、また駅で葉月さんが男と話しているのを見かけた。

 ……今度は誰だ、あのチャラチャラした感じの男は。
 葉月さんと元々知り合いとは思えないし、ナンパでもされたのだろうか。

 以前、前の会社の同僚男性と話をしているところへ駆けつけたら、あきれた顔をされたので、また同じようなことをすると迷惑がられるかもしれない。

 どうしたものか、と一瞬躊躇していたら、葉月さんとチャラ男がどこかへ移動していく。
 さすがにそれはまずい。どうしてそんな男についていくのかとイライラしながらも、俺は心配でふたりの後をそっと尾行した。

 向かった先はすぐ近くにある新しくできたカフェだった。

 俺は葉月さんに気づかれないよう、彼女の斜め後ろのテーブルに座って様子をうかがった。


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