あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「葉月、体調悪いなら早退しなさい。架に車で送らせるから」

 体調は悪くないのだけれど、おかしいくらいに冷や汗をかく私を、みんなはどうやら体調不良だと勘違いしたらしい。

「平気です」

「でも、顔色が悪いわよ?」

 それはおそらく社長と会話しているからで、精神面からきているものだ。

「いいから今日は帰って、家でゆっくり休みなさい」

 壁にかかった時計を見ると、午後四時を過ぎたところだった。
 定時まであと一時間くらいだし、元々体調は悪くないから問題なく働けるのだけれど、せっかく社長が気を遣ってくれたし、その厚意をありがたく頂戴することにした。

「葉月さん、送るよ」

 社用車の鍵のついたキーホルダーを指でくるくる回しながら、架くんが私に声をかける。

「電車で帰れるよ」

「暑い中、電車に乗ったら倒れるから車で送っていけって、社長命令が出た」

 家まで送ってもらえるのはありがたいのだけれど、どうして社長は架くんに頼むかな……。

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