あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「ごめんね。架くん忙しいよね」

「俺は全然忙しくないよ。それってもしかして、嫌味?」

「い、嫌味じゃない!」

 あわてて首を横にブンブンと振ると、架くんが爽やかな顔でアハハと笑う。

 好きだと気づいてしまったら、気持ちが猛スピードで膨らんでいく。
 架くんの整った顔が王子様に見えて、キラキラと輝くような笑顔にポーッと見惚れそうになる。

 ……架くんはこんなにイケメンだったのだ。

 だけど架くんには社長がいる。私のこの気持ちは封印しなければいけない。


 ふたりでオフィスを出ると、駅へ繋がる道とは反対方向に歩みを進めた。
 社用車が停めてある駐車場まで歩くためだ。

 午後四時とはいえ、気温はまだまだ下がってはおらず、“うだるような暑さ”という表現がピッタリで、少し歩くだけでも汗が吹き出て体が溶けてしまいそう。

「暑すぎるな」

 ビルを出てすぐに、勘弁してくれとばかりに架くんがつぶやいた。
 そして途中にあった自動販売機で冷たいお茶を二本買い、一本を私に手渡してくる。

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