あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 架くんは意外と仕事熱心というか真面目なのだな……などと思った次の瞬間、彼がとんでもない発言をした。

「だったら葉月さんと一緒に俺も行く」

 自分も行くだなんて、どうしてそういう思考になるのかわからない。

「架はダメよ。アンタ目立つから。それこそ女が寄ってきて、潜入捜査できないじゃないの!」

 社長のその指摘には、私もウンウンと大きく首を振ってうなずいた。
 まさにその通りだ。架くんの容姿なら、男性一番人気間違いなしだろう。
 偵察に行くのに目立ってしまっては元も子もない。

「大丈夫。俺、めちゃくちゃダサい格好して行くから。職業はフリーターの設定で、葉月さんと仲良さそうにしてたら誰も近寄ってこないよ」

 妙案を思いついたとばかりに、架くんが社長に人差し指を立てて自信満々に言う。
 たしかに仲良くなったカップルを(よそお)うのならば、ふたりで話していてもおかしくはないし、イベントの内容や段取りもしっかりと調査できる。

 だけど、私はご免だ。そのイベントには行きたくない。

< 22 / 273 >

この作品をシェア

pagetop