あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「ホスト時代のお客さんだった人。常連さんで、俺を気に入ってくれてたんだ。俺がいきなり辞めていなくなったから、他の店に移籍したんじゃないかってあちこち探したらしい。ホストは辞めたから、もう俺のことは忘れてほしいって説得しといた」

「………」

「なにか言ってよ」

　無言のままの私が気にかかるのか、架くんは私の様子をチラチラとうかがう。

　だけど私は、なにを言えばいいのかわからない。
　心の中がモヤモヤするだけで、なにも言葉が見つからない。

「このまま無視するなら、またキスするよ？」

　……なにそれ。
　こんな重い空気になっても、まだそんな冗談を言うのかと、瞬間的に腹立たしい感情のほうが勝(まさ)ってしまった。

「浮気者……」

「ん？」

　私がポツリとつぶやき、それに対して架くんが反応したときに、車が私の住むマンションに到着して停車した。

「今の、どういう意味？」

　意味がわからないとばかりに、架くんが私に真剣に尋ねる。

　このまま車を降りてマンションへ走り去ってもよかったのだけれど、架くんの熱い瞳が、私をそうさせてはくれない。

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