あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「わかった。じゃあ、ふたりで行ってきなさい。顔は向こうにバレていないはずだから大丈夫でしょ」

 断りの文言を口にする寸前に社長から許可が下りてしまい、私はさすがに慌てふためいた。

「しゃ、社長! 私は遠慮します! すみません」

「なんで?」

 社長は急に大声を出した私に、不思議そうな視線を送る。

「そのぅ……私は幽霊とか、そういうものが苦手なんです」

 私はとくに霊感体質なわけではないが、完全に“幽霊”を信じている。それについてなにをどう()かれようと、怖いものは怖いのだ。
 夜に廃墟をうろつくなんて、冗談じゃない! 下手をすると気絶しかねない。

「大丈夫だよ。俺がいるじゃん」

 笑顔の架くんがあっけらかんと、なんでもないように言う。

 たとえ架くんがそばにいても、怖さがなくなることはないと断言できる!
 もちろん、ひとりきりでお化けと対峙(たいじ)するよりは、だれかいてくれたほうがいいけれど。

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