あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 架くんは社長に対して、会社以外では話し方がフランクになっていることを、私は最近発見した。社長も同様だ。
 さすがは叔母と甥……というより、見た目は姉と弟だけど。
 ふたりが親戚だとわかってからは、どうして最初に男女関係に思えたのか、今となっては謎なくらいだ。

「架、私にそんな態度取っていいのかしらぁ?」

「……」

 不気味な笑みを浮かべ、今にも高笑いしそうな社長に対し、架くんは面白くなさそうに口を閉ざした。

 いったいどうしたのだろう。
 元からふたりの上下関係ははっきりしていたけれど、それがさらにエスカレートし、今ではまるで女王様と下僕のよう。
 ……面白すぎる。


 食事が終わると、社長は香りのいいおいしいコーヒーを淹れてくれたのだけど、「ふたりでゆっくりしてて」と言い残し、彼女は別の部屋へ消えてしまった。

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