あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました

「じゃあ葉月、頼んだわね」

「社長！」

　今、話を聞いていましたか？　と言いたくなるほど私の意見は完全に無視だ。
　社長はヒラヒラと華麗に手を振って私のもとから離れていった。

「怖いなら俺がずっと手を繋いでる」

「いいよ。自力でがんばるから」

　私の言葉がまるで耳に入らないかのように、架くんが笑顔で去っていく。
　本当にこういうところは、ふたりは似た性格だ。

　再びパソコンの画面と向き合うと自然と溜め息が出て、そのままぐったりとしながら頭を抱えた。
　肝だめしなんて本気で嫌だ。もっと抵抗すればよかった。

「葉月さん、どうしたんですか？」

　しばらく放心状態で生気を失っていると、隣に人の気配がして頭を上げた。
　同僚の三好樹沙(みよし　きさ)ちゃんが外出から戻ってきて、異様な私を見つけたようだ。