あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「葉月、泣きすぎ」

 社長がテーブルの上のティッシュをつかみ取り、私の目の前に差し出した。

「架ね、本当に悪気はなかったのよ。ただ、葉月のことが大好きなだけ。純粋に葉月を喜ばせたかっただけなの」

「……はい」

「仲直りしてやってくれない?」

 手渡されたティッシュで頬の涙をぬぐいながら、私はガクリと肩を落とした。

「架くんにはちゃんと誠心誠意謝りたいです。でも仲直りは無理です。私はすごく酷いことを言ったし、きっと愛想をつかされたはずです」

「葉月……」

「私には架くんは勿体ないですよ。あんなにイケメンでやさしくて、あんなに愛情深い人の恋人が私だなんて」


 きっともう手遅れだ。
 架くんは怒っているだろうし、謝ったところでなにもなかったように元には戻れない。

 そう自覚したら、また涙がとめどなく溢れてきた。

 私は大バカだ。こうなってから自分の気持ちに気づくなんて。

 こんなにも架くんを愛してしまっている。

< 263 / 273 >

この作品をシェア

pagetop